情報科教育法I | 清水健太郎の教育研究・補助教材サイト

清水健太郎

情報科教育法I

情報科教育法I

目的と概要
・現行ならびに次期学習指導要領における小中高の情報教育の目的と内容を概観する
・特に高等学校における普通教科「情報」についてその内容を理解する
・教育におけるコンピュータや情報機器、ネットワークの導入の歴史的変遷を理解する
・具体的な情報教育の指導法や留意点について実例を通して学ぶ(実習あり)

(講義メモ)
・コンピュータの教育利用
1,コンピュータの使い方を教えることを目的とする
    各種ソフトウェアの使い方、プログラミング、ネットワーク関連技術、ハードウェア
2,情報活用能力
    学習の手段としての情報技術
    「生きる力」、生涯学習型社会
3,教師の教授能力の拡張
    CMI (Computer Managed Instruction)
    従来のOHPやビデオ教材に替わるもの
4,教育情報の管理
    児童生徒情報のデータベース化と管理
    各種文書管理、成績データ、試験データの処理
    教育内容の統計的分析
5,学校による情報発信とコミュニケーション
    Webページ
    メールや電子掲示板によるコミュニケーション

・コンピュータ教育の歩み
(黎明期(れいめいき))
・1945年11月、世界最初のコンピュータENIACが稼働
1万8000本の真空管からなる巨大装置(総重量30t, 高さ25m, 奥行0.9m, 幅24m,消費電力140kw、24馬力の喚起システム)
砲弾の弾道計算が開発目的
これまでの手計算やアナログ計算機より圧倒的に早かった。
約70時間で円周率を2037桁計算
現在の私のパソコン(MacBookPro)では、104万桁を16秒で計算
現在の記録は2兆5000億桁73時間→筑波大



(1960年代までのコンピュータ教育)
ティーチングマシン
アイディアは1920年代から(その頃は歯車と円盤の機械)
テストの自動採点、自動学習装置
1950年代に、コンピュータによって実現
児童は文字画面を見て、その問題文に反応する、その結果をコンピュータが判断して次のステップへ
スモール・ステップの原理、直線型教授プログラム
「シート式録音機(シンクロファック ス)」 との協調、自学システム

Machine for Teaching ArithmeticB. F. Skinner, Cambridge, Massachusetts, 1954Gift of B. F. Skinner



(1960年代のコンピュータ教育)
CAI (Computer Assisted Instruction)
ティーチング・マシンの延長上にある
イリノイ大学PLATO


チュートリアル(説明)、ドリル&プラクティス(練習問題)、テスト(試験)
個々の学習者に対応した分岐型の学習プログラム(N.A.クラウダー)
分岐予測を細かくすればするほど膨大なデータに

(1970年代のコンピュータ教育(1))
大型コンピュータはタイムシェアリング・システムに(大型ホストと端末)
CMI (Computer Managed Instruction)
簡単なものは成績データベース
大規模なもの
各学校に端末を置き、本部のコンピュータに各生徒の成績データを送る
コンピュータが学習者の進度をチェックし、次の学習の指針を指示する

(1970年代のコンピュータ教育(2))
パーソナル・コンピュータの誕生
AppleⅡ(1977), Commodore PET(1977)
NEC PC8001(1979)
簡単なプログラム言語の普及
BASIC(ダートマス大学, 1965)
LOGO(MITのパパート, 1960年代中頃)
学校や家庭でのパソコン設置、CAIの導入の試み




(1980年代のコンピュータ教育(1))
より本格的なパーソナル・コンピュータの出現
IBM-PC (1981), NEC PC9801(1982)
8bit から 16bitへ
MS-DOSによる汎用性
8bit用のCP/M(1976)から発展
Microsoft社(1981)
ビジネスへの本格的な普及
メインフレームからパーソナルコンピュータへ
学校現場への普及(1985年頃から)
グラフィック・インターフェースの出現
Apple Macintosh (1984)


(1980年代のコンピュータ教育(2))
アプリケーション・ソフトの普及
ワープロ、表計算、データベース
教育用ソフトウェア
ドリルソフト、関数のシミュレーション、簡単なグラフィック
人工知能研究の技術を応用したCAI
ITS (Intelligent Tutoring System),エキスパートシステム
分岐型CAIの限界を改善する試み、コンピュータ上に仮想の教師を構築する
非常に高度で実現が難しい

(1990年代のコンピュータ教育)
さらなるパーソナルコンピュータの高性能化、小型化、低価格化
ラップトップ型コンピュータの普及
本格的GUIの普及
Windows 3.1, Windows 95現在はWindows XP
インターネットの普及
WWWによるインターネット上の膨大な知的資産
メール、掲示板などの新しいコミュニケーション手段
遠隔教育、国際教育


(現在の情報教育)
本格的なインターネット社会の進展
「生きる力」の重視
子供達の情報活用能力の育成
各教科等の目標を達成する際に効果的な情報機器を活用する(教育の情報化)

(現在の情報教育の考え方)
・生きる力(1)
国際化、情報化、科学技術の進歩による社会の変化に迅速に対応できる教育
社会の変化が激しく、学校で学んだ知識は急速に陳腐化する
 ↓   ↓   ↓   ↓   ↓   ↓
不断に知識を新たに獲得しリフレッシュする生涯学習型の社会
知識の詰め込みよりも、学習方法の獲得へ

・生きる力(2)
いかに社会が変化しようと、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力
自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性
たくましく生きるための健康や体力も不可欠

・「生きる力」と情報教育
「自ら学ぶ手段」として
情報メディアを通じて新たな様々な知識、情報を獲得する
現場や専門家から直接情報を得る手段
自ら情報発信の手段として
生涯学習型社会に適応する手段として

・情報教育の目標

1,情報活用の実践力
「課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて,必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し,受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力」
課題や目的に応じてどのような手段が適切なのかを選ぶことができる。場合によっては情報機器を活用しない選択もありうる。
情報の収集から発信までの一連の作業が受け手の立場も考慮してしっかりとできる。
自ら学び、自ら考える力を育成すること

2,情報の科学的な理解
「情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と,情報を適切に扱ったり,自らの情報活用の評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解」
コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段の特性を理解するだけでなく、情報手段の特性を知り、情報手段を適切に選択して活用できること。これらをブラックボックスとしてではなく、長所や弱点を知り、他の情報手段の特性も理解する。
情報そのものの理解、問題解決の手順と結果の評価、人間の知覚、記憶、思考などについての特性、情報を表現するための技法などについて基礎的理論や方法を学び実践する。
情報の表現法、情報処理の方法、統計的見方・考え方、モデル化の手法、シミュレーション手法、人間の認知的特性、身近な情報技術の仕組み、代表的な情報手段の機能や特性
単に情報技術の専門家を育成するのではなく、実際的な課題解決の学習や操作実習をとおして、経験や実体の観察と対応させながら理解を深めていく。
実施にあたっては「今、目の前にある機器やソフトウェアにとらわれて情報教育を行ったのでは、その学習成果は学校を卒業する時には役立たないものになっている恐れがある」という問題意識に立つこと。

3,情報社会に参画する態度
「社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響を理解し,情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え,望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度」
情報化の光の部分と影の部分を理解。情報化の進展による生活の利便性の向上や産業の効率化・生産性の向上の一方、情報の信頼性や信憑性の問題、個人情報や著作権の保護、コンピュータ犯罪、実体験の欠乏と対人関係の変化、健康問題などについて認識させ、どのように捉え対処すべきかを知り、情報社会に参画しその進展に寄与する態度を育てる。
情報の送り手と受け手として適正な活動をするために必要なルールやマナーについて考えるとともに、個人の情報を利用したり、情報を作り出したりすることによって、情報社会において情報の被害者や加害者になる恐れも有ることを理解させ、情報を扱う責任について考えること。
モラルや責任については教え込むだけでなく、その妥当性と必要性を一人一人が納得し、自分のものとしてとらえられるようにすること。

・現「学習指導要領」成立の過程(1)
提言は第15期中央教育審議会の第1次答申「21世紀を展望したわが国の教育のあり方について」(平成8年7月)

教育課程審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」(平成10年7月29日)

・現「学習指導要領」成立の過程(2)
平成10年12月14日告示の「学習指導要領」(小学校、中学校)、平成11年3月29日告示の「学習指導要領」(高等学校)で具体化
学習指導要領の内容は文部省のWEBで
小学校、中学校は平成14年度より、高等学校は平成15年度より実施

・情報化への対応
情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進などに関する調査研究協力者会議 (1996/10/16~1998/8)
体系的な情報教育の実施に向けて(平成9年10月3日)1次報告
情報化の進展に対応した教育環境の実現に向けて (最終報告1998/8)


・現行の教育課程での情報化対応
ーーーーー小学校
総合的な学習の時間や各教科でコンピュータや情報通信ネットワークを活用
各教科等の指導に当たっては,児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ,適切に活用する学習活動を充実
ーーーーー中学校
技術・家庭科で「情報とコンピュータ」を必修(発展的な内容は生徒の興味・関心に応じて選択的に履修)
総合的な学習の時間や各教科でコンピュータや情報通信ネットワークを活用
ー=ーーーー高等学校(現行学習指導要領)
普通教科「情報」を新設し必修(「情報A」「情報B」「情報C」(各2単位)から1科目を選択必修)
専門教科「情報」を新設し、11科目で構成
総合的な学習の時間や各教科等でコンピュータや情報通信ネットワークを活用


(情報A)
目標「コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を通して、情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識と技能を習得させるとともに、情報を主体的に活用とする態度を育てる」
情報機器を活用する実習を多く取り入れ、それを通じて基本的な技能と「情報活用の実践力」を高める
活動の具体例を通して帰納的に「情報の科学的な理解」を育成し、体験的に「情報社会に参画する態度」を育成する。
コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用経験が浅い生徒でも十分履修できること。
(情報B)
目標「コンピュータにおける情報の表し方や処理の仕組み,情報社会を支える情報技術の役割や影響を理解させ,問題解決においてコンピュータを効果的に活用するための科学的な考え方や方法を習得させる。」
コンピュータの仕組みやコンピュータを活用した問題解決の学習を通して、「情報の科学的な理解」を深める。
コンピュータ言語も扱う
モデル化とシミュレーション モンテカルロ法、最適化問題、待ち行列
情報通信と計測・制御の仕組み
コンピュータに興味・関心を持つ生徒が履修することを想定している。
(情報C)
目標「情報のディジタル化や情報通信ネットワークの特性を理解させ,表現やコミュニケーションにおいてコンピュータなどを効果的に活用する能力を養うとともに,情報化の進展が社会に及ぼす影響を理解させ,情報社会に参加する上での望ましい態度を育てる。」
情報の表現方法やコミュニケーションについての学習、実際の調査活動、情報社会の理解を通して、「情報活用の実践力」を高め「情報社会に参画する態度」の育成を重視。
これらの活動に関連させて、情報機器や情報通信ネットワークの仕組みや特性なども理解する。
情報社会やコミュニケーションに興味・関心を持つ生徒が履修することを想定している。

・情報化への対応
情報教育の実践と学校の情報化   -新「情報教育に関する手引」ー (平成14年6月)
以下にこの「手引」に述べられた点で、これまでの事項に付け加えるべき内容をまとめる。

(情報化に対応した指導体制)
情報活用能力の育成やコンピュータやインターネットを効果的に活用した「わかる授業」などの実現は,情報に関する教科等のみで達成できるものではなく,学校教育活動全体での取組が必要であり,その前提として,各教科において,すなわち全ての教員が,コンピュータやインターネットを活用して指導が行えるようになることが不可欠

(教員一人一人に求められる能力)
情報活用能力の目的・内容の理解,
指導方法の改善のための情報手段の適切な活用方法についての理解
全員が協力して学校の情報化に参画しなければならないという認識

(各教科等の学習指導での情報手段の活用)
子どもたちの興味・関心や意欲を高め,理解を助ける
思考力や判断力,創造力,表現力などを培う
基礎・基本と主体的な学習の方法を習得させる
交流,共同学習など創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する


・次期学習指導要領での情報教育
中央教育審議会の答申「2008年1月17日 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)
小学校・中学校は特に大きな変更は無い
高校の内容に大きな修正が加えられる

・新学習指導要領高校の「情報」の改善の基本方針
高校生の発達の段階や多様な実態に応じて、情報化の進む社会に積極的に参画することができる能力・態度をはぐくむとともに、情報に関する科学的な見方・考え方を確実に定着させる指導を重視し、科目やその目標・内容の見直しを図る。
情報を適切に活用する上で必要とされる倫理的態度、安全に配慮する態度等の育成については、情報モラル、知的財産の保護、情報安全等に対する実践的な態度をはぐくむ指導を重視する。
生徒の多様な学習要求に応えるとともに、進路希望等を実現させたり、社会の情報化の進展に主体的に対応できる能力や態度をはぐくむために、より広く、より深く学習することを可能にする内容を重視する。

・教科編成の変更
現行:情報A, 情報B, 情報C
 ↓   ↓   ↓   ↓   ↓   ↓
新要領:「社会と情報」、「情報の科学」の2教科に集約


・「社会と情報」
「社会と情報」については、情報が現代社会に及ぼす影響を理解させるとともに、情報機器等を効果的に活用したコミュニケーション能力や情報の創造力・発信力等を養うなど、情報化の進む社会に積極的に参画することができる能力・態度を育てることに重点を置く。
従来の情報A+情報C

・「情報の科学」
「情報の科学」については、現代社会の基盤を構成している情報にかかわる知識や技術を科学的な見方・考え方で理解し、習得させるとともに、情報機器等を活用して情報に関する科学的思考力・判断力等を養うなど、社会の情報化の進展に主体的に寄与することができる能力・態度を育てることに重点を置く。
従来の情報B

・情報通信ネットワークについて
情報通信ネットワークやメディアの特性・役割を十分に理解し、安全に配慮し、情報を適切に活用できる能力をはぐくむ指導をより一層重視する。
情報通信ネットワークや様々なメディアを活用して、新たな情報を創り出したり、分かりやすく情報を表現したり、正しく伝達したりする活動を通して、合理的判断力や創造的思考力、問題を発見・解決することができる能力をはぐくむ指導をより一層重視する。

(資料)
情報教育の実践と学校の情報化 新情報教育に関する手引き  平成14年   2002年

教育の情報化に関する手引き  平成21年   2009年3月

Macの基本的な使い方(Apple社提供)
一番最初の授業の前日か数日前までに上記ボタンをクリックしてMacの操作について理解して下さい。
Google EarthとGoogle SketchUPに関してはこちらを確認して下さい。
教材製作用アプリケーションの利用方法に関してはこちらを確認して下さい。
PPTとiMovieを利用して、持参した写真数枚を使って簡易Movieを製作する。

明星大学講義予定

8月18日(月)
Googleドライブ活用 アカウント登録
http://shimizu.canasta.jp/2011meisei.html
高等学校学習指導要領解説(情報編)法令他 
レポート午前
>各学科に共通する教科「情報」P.1からP.15を読んで共通教科「情報」の目標を明らかにする。
>情報科の各科目P.16からP.40、特にP.25の情報の科学をよく読んで、ネットワークとコンピュータの活用についてまとめる。
上記をGoogle Drive上でドキュメントにより作製し、清水に「共有」する。分量自由。
午後
Googleアース徹底研究
錯覚と錯聴
http://www.kecl.ntt.co.jp/IllusionForum/index.html
教員免許更新講習時の資料を題材に、
レポート午後(クラウドコンピューティングサービスの利用)

8月19日(火)
Googleドライブ活用
レポート午前
>検索エンジンを利用して、現在研究されている様々な要素技術を調査し、今後の教育活動に利用したい移動型情報端末をデザインする。要点をまとめ、Googleドライブ上でプレゼンテーション資料を作成して、清水に「共有「する。

午後 
>レポート1(ネットワーク社会の未来予測)
>レポート2 自分でテーマを設定し、新聞記事(朝日と読売の報道の差等)、WebやYoutubeでの情報を対比して、生徒に正しく情報を整理選択してもらうための要点をまとめる。 ドキュメント、プレゼンテーション自由。分量自由。

8月20日(水)
Googleドライブ活用
午前 情報科教育法2に向けて、教材制作の話
iLife製品の紹介(iPhoto,Garageband,iMovie)
午後 デジカメや携帯電話で身の回りの出来事を記録し数枚の写真を持参し簡易的に教材製作方法をシミュレーションする。